内部監査では「質問文」を羅列したチェックリストを作成することが一般的です。
内部監査のチェックリスト作成は必須ではありません
内部監査を実施する際には「準備」が必要です。準備の一つとして「内部監査チェックリスト」を作成しますが、作成しなくても監査が実施できるようであれば作成は必須ではありません。
むしろチェックリストに拘り過ぎると一問一答式の質問文章の羅列になるだけになって、仔細な事まで気になって重箱の隅を突くような監査になりかねません。先ずはISOマネジメントシステムの全体像と、その中での監査対象部門の機能を確認しましょう。
準備としてマネジメントシステムの全体を理解する
- マネジメントシステムがどのように機能しているのか。(被監査部門の役割や他の部門との相互関係、成果は何かなど)
- 被監査部門の業務内容を理解する。(マネジメントシステムの中でどのようなルールで仕事をしているかなど)
- 被監査部門の日常業務で発生している問題点などを理解する。(不適合などのデータベースなどを確認する)
確認する事を準備する。質問を準備する必要はない
内部監査では内部監査員が「監査証拠」を収集します。
その際に「質問」や「依頼(要求)する」(みせて、教えて、説明して等)事により「監査証拠」を確認していきます。
それ故、確認する事をリスト化しておくとよいでしょう。質問は確認するためのトリガー(きっかけ)に過ぎません。
質問文にこだわっていると一問一答式の受け答えになってしまうことがあります。
質問したことに対する回答に対して更に質問する事も必要なので確認したいことが重要であって、質問文自体は重要ではありません。
1.質問文によるチェックリスト
「社内外の課題を明確にしていますか?」→「はい。」
「社内外の課題は社長の承認を受けていますか?」→「はい。」
質問技法ではクローズ質問と言いますが「はい」「いいえ」に回答が限定されてしまう質問です。
監査員によっては「”はい”だから適合だ」と判断してしまうでしょう。また、監査証拠である「社内外の課題を明確にしたもの」を確認しないままの監査員も出てしまうでしょう。
「社内外の課題はどのように明確にしていますか?」「明確にしている者を見せて下さい」と質問出来ると良いでしょう。
2.文書に確認する事を書き込む
監査員が事前準備として文書に下線やマーカを引きながら確認したい事項を書き込んでしまう方法です。
私は監査の仕事を始めたばかりの時に準備していた方法です。今でも頭の中では同じことをして準備しています。
3.確認したいことリスト
質問文になると前述のように一問一答式のようになってしまうため、質問文ではなく「確認したい事」をリスト化したものです。
「確認したい事」とPDCA、4W1Hを組み合わせて確認・質問していきます。
例えば、社内外の課題は、
なんの(what)課題を計画(Plan)として誰が(Who)、いつ(When)、どのように(How)策定したのか。
特定した課題(Plan)はマネジメントシステムにどのように(How)取り入れているか(Do)。
特定した課題(Plan)はマネジメントシステムに取り入れて(Do)、どんな影響があったか(Check)
特定した課題(Plan)がマネジメントシステムに取り入れ(Do)て、解決されない場合、どのような(How)見直しを(Act)おこなっているか。