一般的な内部監査の進め方(図)
計画、準備、実施、報告、フォローに分けて下記に説明をしています。

ISO内部監査の計画

ISO内部監査では抜き打ちで監査をおこないません。計画的な監査を実施ます。 内部監査員が計画を立案して、被監査部門と日程や出席者などの調整を行います。

内部監査員(主任やリーダー)が計画書を作成するのが一般的です。
計画書では下記の事項を明確化します。
・監査日時/被監査部門出席者:被監査部門の予定を確保します。

・監査目的:「適合性監査」「改善点の発見」「顧客規定との適合性」など明確にします。
「内部監査の目的」詳しくはこちら → 内部監査の目的

・監査基準:監査の判定基準となる規格、文書、法令、それらの版数などを明確にします。

ISO内部監査の準備

ISO内部監査が上手くいくかどうかで一番重要なのは準備です。

被監査部門の事を知る

ISO内部監査では客観性と公平性の確保から自らの仕事(自部門)は監査してはなりません。
従って他部門監査をおこないますが、何も知らない状態で監査を実施することは難しいので、被監査部門がマネジメントシステムの中でどのような業務を実施しているのかを理解しておかなければなりません。
・被監査部門のマニュアル、規程、手順書、要領書などを事前に読んでおく。
・被監査部門で作成する成果物や記録などに何があるか理解する。

確認することを洗い出す

監査の目的に従い監査で確認することを内部監査員として確認します。

チェックリストの作成

社内で標準的なチェックリストを作成しており、内部監査員としては、そのチェックリストを使用すればよいようになっていることが多いです。
しかし、よくご相談いただく内容として「監査がマンネリ化している」「監査が儀礼的になっている」「毎回毎回、同じ質問と回答で進歩がない」などです。そのような企業では前述の標準的なチェックリストを使い続けいている事が多いです。一からチェックリストを作成するのは大変ですが、前述の被監査部門の仕事内容を理解して興味を持ち確認したいことなどを書き出してみましょう。

詳しくはこちら → 内部監査チェックリスト作成

ISO内部監査の実施

被監査部門に貢献できるようにしましょう。
粗さがし、不適合探し、重箱の隅を突くような監査にならないように。目指すは「明るく、楽しい監査」です。

ISO内部監査質問の仕方

① 被監査部門の仕事に興味をもち、理解するように心がける。
② “Yes”か“No“で答えられる質問は避ける。
③ 「~を説明してください」「~を見せてください」が基本の質問。
④ 5W1Hに基づき質問すると良い。
Who だれが、When いつ、Where どこで、What なにを、Why なぜ、How どのように(「なぜ」は時に詰問調になるので使い方に注意する)
⑤ 現場の確認では5M1Eを活用する。
Man だれが、Machine 機械、Material 原材料、Method どのように、Measurement 測定、Environment 作業環境
⑥ 詰問、誘導尋問、仮定に基づく質問はしない。
⑦ 肯定的な質問をする
× 「なぜ目標が達成できていないのか。」
〇「どうしたら目標を達成できるのか。」
⑧ 話しが散漫になった時は、話の要点をまとめて復唱してみるとよい。

ISO内部監査の報告

  1. 監査報告の進め方 ① 監査に協力してもらったことに謝意を表明する。 ② 監査の目的、範囲、基準の確認をおこなう。 ③ 監査結果の報告をおこなう。 ・称賛点として優れた業務や作業、管理方法を報告する。 ・不適合の報告をおこなう。 ・改善の機会の報告をおこなう。 ④ 監査報告に対する質疑をおこなう。監査員は監査報告における如何 なる質問に対しても答える義務がある。 ⑤ 不適合に対しては是正処置の計画を確認する。 いつまでに監査員に対して是正計画を提出してもらえるか確認する。

ISO内部監査報告書の作成

  1.  監査報告書作成の目的 1) 経営層への報告 ・ 現場で判断できないことを決定 ・マネジメントレビューの資料 2) 被監査部門へ報告 ・不適合の是正を要求する ・改善の機会の採用により改善を促す
  1. 2. 監査報告の内容 1) 監査目的、範囲、基準 2) 監査所見、監査結論 3) 監査中に遭遇した障害 4) 不適合/改善の機会の内容 5) 内容の機密性に関する記述
  1. 3. 監査報告書作成の注意点 1) 5W1Hに注意して書く。 2) 被監査部門、経営層への報告で書くのであるから、相手が理解できるように書く。(報告書は、監査の場に居なかった人でも具体的に内容がわかるように記載する。) 3) 事実の再現性に留意して、客観的証拠を多く盛り込み記載するとよい。 4) 監査報告書の内容により、後の改善活動が監査員が意図したことと違う方向に進む事があるので注意する必要がある。 5) 必ず称賛点を記載すると良い。

ISO内部監査のフォロー

内部監査の不適合に対する原因追及と是正計画の策定は被監査部門の役割として実施される。また、改善の機会は被監査部門が採用の要否を決める事である。 内部監査員は組織で規程があれば、是正処置の計画から効果の確認までのフォローアップをおこなう。規程がなくても、フォローできるようであれば実施することが望ましい。 改善の機会もフォローアップすることが望ましい。 是正処置とは「再発防止」を目的として実施される。被監査部門が策定した是正計画において「真の原因追及」が出来ており是正計画が「真の原因を取り除く」処置として計画されているかを内部監査員が確認することが望ましい。